美術品の扱いと保存7

7 香合編

留意すべき扱い方

萩焼 雀香合 十代 三輪休雪(造)
萩焼 雀香合
十代 三輪休雪(造)
香合には炉に使用する焼物と風炉に使用する塗物、木地物がございます。

まずは炉の焼き物の香合の注意すべき点を述べます。
磁器は比較的扱い易いのですが香合の縁と、立ち上りの所は特に注意を払ってください。
茶入れの口同様に破損しやすい個所です。

練香を使用した後は必ず湿らせた布巾等で内側の練香が付いた個所を丁寧に丁寧に拭き取ってください。
特に陶器は浸み込みやすく変色いたしますので使用した後なるべく早く手入れしてください。
どうしても落ちない場合は磁器に限りぬるま湯洗いも可能です。陶器は危険性がありますので専門家に依頼した方が賢明です。

練香はある程度は保存が出来ます。乾燥して硬くなったものでもぬるま湯を適量入れれば元に戻りますが何回もしない方が宜しいかと思います。香りが飛びます。保存は小さなタッパーが宜しいですね。


四方香合 宗旦好 十六代 飛来一閑(作)
四方香合 宗旦好
十六代 飛来一閑(作)


草叢(くさむら)蒔絵錫縁香合 恵風作
草叢(くさむら)蒔絵
錫縁香合 恵風作
次は塗物、木地の香合です。

塗物はキズが付きやすく日焼けがしますので箱に入れて保存してください。
木地物は汚れが浸み込み易く変色しますので素手で触れるときは気をつけてください。
特に女性の方のハンドクリームは大敵です。手を洗ってから触ってください。

以前大名家からでた蘭奢待を手に取った事があります。小さな香木に錫の容器から始まり5重の箱に入り由緒書きも多数入っており水指の箱の大きさぐらいでした。嗅ぐとほのかに香りがしましたが未使用か使用済みかは解りませんでした。

香木は超高級品はこのように錫の専用容器などに入っている場合が多くありますが一般家庭での保存は和紙のタトウでもOKですしビニールパックに入れての保存でも宜しいと思います。

それにしても最近の香木の高騰は凄まじいものがあります。
超高級品ほど高くなり物によっては10倍ぐらいになっております。中国の買い占めの影響ですかね。


蛤香合 鶴の絵 淡々斎書付・在判
蛤香合 鶴の絵
淡々斎書付・在判
まれに金属や象牙・貝等の香合もございます。
基本的な手入れは空拭きでそっと拭う程度にしてください。ごしごしと磨くことや、金属磨きクリームの使用はお勧めできません。腐食や破損している場合は専門家にご相談してください。

特に古い金属(銀、錫、古銅)や象牙は時代の味わいが御馳走になり何とも言えない美しさがございます。
もしかして人間も同じかもしれませんね!

古美術ささき  佐々木 一

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