インク壺 コラム第6回


見習い

古くから私たちの世界では、見習いを経て半人前になります。

今では「見習い」と呼んでおりますが、まだ「丁稚(関西方面)」、「修行」、「奉公(相当古いですね))」等呼ばれます。期間はお店により5年から10年ぐらいの間です。

もちろん色々と仕事を教わり、物の見方から相場、仕入れ方法等を教わるわけですから給金は無くお小遣い程度です。(お店により大きく異なりますが)長く営業していくためには、商品の仕入れ先がとても重要になります。我々の商売には問屋が無く、商品の仕入れが難しい業種です。その為に他の業者との横の繋がり、交換会(業者のオークション)への出入りがとても大切になります。

見習いを経なくて超一流の古美術商になられている方も多々おりますが、やはり昔から閉鎖的で縦のライン(上下関係)を重んじる古い世界です(扱っている商品も古いですが)。

その見習いの最初は挨拶、掃除、風呂敷の畳み方や紐掛け、配達、引き取り、日常の雑用等の仕事です。一通り終わりますと店番や交換会(業者のオークション)、お客様の仕入れに同行できます。もう少し進みますと主人(社長)が決めた価格まで品物を競るオークションを任されます。逆に、売ることもございます。

いよいよそれもこなせて品物が解れば、今度は一人でオークションに行き売買することになります。ま、ここまでくれば半人前でしょうか。

品物の価値や価格が解る方法は色々とございますが、一番の近道としては自分で売買した点数の積み重ねではないかと思います。もちろん其処には質も重要です。1000点売買した方と10000点売買した方とでは自ずと違ってきます。

私の三男が春よりこの世界に入りまして、どこか良い見習い先を探しておりました。
時勢とマーケットの縮小により、今まで受け入れてたお店も見習いを取らなくなりつつあります。
その中で大阪の老舗の鑑賞陶磁器を取り扱うお店に御世話になるご縁を頂きました。
最初から見習いは遠くのほうがよいと考えておりました。親元を離れ、友達もいない土地で生活、言葉の違い、仕事は不安で大変ですが、人生に大きなプラスになる事と信じております。 お世話になるお店の見習い期間は5年ですが、頑張って勤め上げてくれることでしょう。
その三男が大阪に行く前にハードな仕事を気遣い、「仕入れ一人で大丈夫かな?無理するなよ!」となかなか子離れ出来ない私に掛けてくれた言葉は一生忘れない言葉になりました。

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