コラム第4回 コラム第4回

「孫六」

遠州作の茶杓に「孫六」と言う銘のついた茶杓がある。
「おじいさんの名前?孫が六人いる人?中国の人?」等、普通に想像するに違いない。

「孫六」と聞いただけで「ハハーン」と思い浮かぶ人は刀剣愛好家かよほど博学の人である。

畠山美術館で見た時の印象はとても鮮烈だった。今までに拝見した茶杓とは凡そ異なものだった。

茶杓
茶杓 大徳寺法堂古竹 
円山伝衣老師箱書 一瀬小兵衛(造)



大変美しいしみ竹、そのしみがジグザグに縦に入っており、節下が短い。「ア!」刀だ!しみが刃紋で節が鍔、節下がにぎり束になっている。
名刀、関の孫六三本杉か――。

茶杓

表千家 久田家 十一代無適斎宗也自作茶杓 銘「末広」 二十五本の内


『大日本人名辞書』によると「兼元『初世』は美濃刀匠赤坂関一派にして兼基の子にて孫六と称す。
信濃守兼定の門人なり。明応、永正年間の人となり、関孫六三本杉の業物とて大いに世に称せらる。」

よくもまあ、このような素晴らしい銘を付けたものだ。このような美竹を探し、刀を連想して、茶杓を削るとは、武家茶道の真髄ではないだろうか。

茶杓の銘で初めて感激した時でした。

わたしの許にも少しばかりですが美しい茶杓がございます。


佐々木

すべての商品はこちら

ページトップへ